日語フェローシップ 2023-10-26

預言者エリヤ

     旧約聖書に登場する人物というと、アダムとイブ、ノア、モーセ、ダビデ、ソロモン、イザヤなどの名前が出てくると思いますが、ユダヤの歴史の中で重要な役目を果たしたのに、意外と話題に上ることが少ない人物の一人にエリヤが居ます。十字架を目前にした主イエスが、山上でモーセと共に語り合った、あのエリヤです。実は新約聖書に登場する旧約の人物の中で最も多いのがモーセ(80回)、次にアブラハム(73回)、ダビデ(59回)、そしてエリヤ(30回)と続くほどの有名人なのです。
     彼の名前Elijahの由来はヘブル語のEl (God) と Yah (Jehovah) から来ており、“Jehovah is my God“ の意味となります。彼はその名の通り異教との戦いに人生を捧げ、モーセと同じくドラマチックな一生を送りました。
     時は紀元前10世紀、ダビデやソロモンが率いたヘブライ王国が、ソロモンが課す重税がきっかけとなって北のイスラエル王国、南のユダ王国に分裂します。その後ユダ王国は首都エルサレムを継承して安定した国家になるのですが、多くの部族を抱えた北のイスラエル王国はクーデターが頻発し、王朝はたびたび交代します。そしてイスラエルがアハブ王の時代、今のシリアの王家の娘であるイゼベルを王妃に迎え、同時にバール教も宮廷に導入し、ユダヤ教の預言者たちを迫害し始めます。
     ここで登場するのがエリヤ。彼は3年半にわたってイスラエル王国に干ばつを起こし、450人のバールの預言者たちを相手に戦い、モーセが紅海を割ったようにヨルダン川を二つに割き、また火を天から呼んでアハブ王の兵士51人を滅ぼします。ユダヤの人々にとって、エリヤがどれほど偉大な預言者であったかが窺えます。
     冒頭でエリヤは新約聖書の中でも有名人だったと書きましたが、これは福音書に度々登場するバプテスマのヨハネをエリヤの再来とする考え方も一つの要因と言えるでしょう。旧約のマラキ書に、エリヤを「主の道を備える使者」と呼び、その役目は「わたしが来て、破滅をもってこの地を撃つことがないように」と書かれている事から来ていると思えます。エリヤは異教との戦いにその生涯を捧げましたが、それはヨハネのように、神による救いにいたる道を整える為であった、という事なのでしょう。
     しかしエリヤはイゼベルが自分を殺害しようとしている事を知り、恐れのあまり彼女ではなく神によって命を絶たれるように祈ってしまいます。そして追手を逃れて40日間荒野を彷徨った挙句、モーセが十戒を授かったホレブ山に辿り着き、そこで神と出会います。その時の様子を列王記上は、激しい風、地震、そして火が起こったが、その中に主は居られず、火の後に「静かにささやく声」が聞こえた、と記しています。それまでは「神」と言うと強大な自然の力に示される、と言うのが通念でしたし、今もそのような考え方は多く見られます。しかし当時、救い主イコール万軍の主、即ち強大な力がシンボルだったのですが、主イエスが自らの死をもって贖った罪からの救いは、「静かにささやく声」でした。
     今は世界中どこを見ても力による争いが絶えず、様々な国や地域で人々が命の危険にさらされ、耐えがたい苦しみの中にいます。今こそ私たちは、この「静かにささやく声」に耳を傾け、憎しみの連鎖ではなく、愛と救いの連鎖へと歩んでいきたいものです。

以下、日語フェローシップからのお報せです。

  • 10月31日(火)の教会でのTrunk N Treatには日語からも車を出して子供たちを迎えます。時間は4時半から7時半までですが、準備は3時半ごろから始めます。お手伝い可能な方、宜しくお願い致します。
  • 11月17日(金)はサフラン会です。ラベンダーのポプリを作ります。
  • 11月26日(日)は月次の日語礼拝を守ります。メッセージは、以前エル・セリトのシカモア教会で牧師を務められ、私たちとも親しく交わってくださった石田求先生です。是非ご参加ください。
  • 毎週金曜午後4時からギホンの泉と、毎週土曜日朝6時半から早天祈祷会を守っています。下記の8x8からご参加ください。
    https://8x8.vc/wumc-nichigo/gihon-spring